ロゴの分解_case4:愛知動物外科病院様


坂東さん

こんにちは、京都を拠点に活動しているフリーランスデザイナーの坂東進亮(bando design office)と申します。 「ロゴの分解」連載の4回目です!

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bando design office Webサイト

<経歴>
2011年から約8年間、東京の企業にてデザイナーとして勤務
2018年末に退職し2019年より独立しフリーランス として活動
現在、フリーランスとして3年目を迎える
これまでに新規設立に伴う企業様のロゴマークデザイン、ロゴリニューアル、飲食店のロゴマークデザインなどを手がける
<活動領域>
・ロゴマークを中心としたCI(コーポレートアイデンティティ)/VI(ビジュアルアイデンティティ)
・名刺、封筒、レターヘッドなど、企業様に必要な各種ツールデザイン
・ブランディング

この「ロゴの分解」コラムでは、私自身がデザインしたロゴマークを題材に、どのような論理的根拠のもとにデザインしているのか、をお話させていただきます。

私自身のデザインに対する姿勢を見ていただければ嬉しいですし、また少しでもデザインの面白さ、奥深さを感じていただければ幸いです。

愛知動物外科病院様

今回紹介させていただくのは、8月に開業されたばかりの愛知動物外科病院様のロゴマークデザインです。

前回のコドモバイク様に引き続き、ロゴタイプにスポットを当てて、このロゴタイプをどのようにデザインしたか、について詳しくお話させていただきます。

「既成フォントをベースにデザインする」

今回のロゴタイプ「愛知動物外科病院」の文字は既成フォントではありません。しかし、全くゼロからのオリジナルのデザインというわけでも無いのです。こちらは、「FOT-ロダン Pro N」というフォントをベースに修正を加えてデザインしております。

今回お客様からは、命に関わるシビアな状況も多い病院、ということで利用者から信頼感を持っていただけるような固めの書体をご要望いただきました。そこでそのご要望を満たし、さらにはシンボルマークにも合った「FOT-ロダン Pro N」を選定しました。

しかし、このフォントでは今回のロゴマークに対して一部ミスマッチな部分がありました。動物病院には動物の生や命が存在し、そこには飼い主様である人間の愛があります。このフォントをそのまま利用すれば、それらを表現できていないと判断し、修正を加えることに決めました。

<修正-1>

「知」「動」「物」の一画目と二画目を繋げました。

文字に柔らかさや滑らかさを出したかったことと、動きを演出したかった為です。

<修正-2>

「動」「物」「外」の偏とつくりの余白を大きくしました(または接しているところを離しました)。

FOT-ロダンは、漢字によっては偏とつくりが非常に近く、また「外」のように接しているものもあります。この部分を離してあげることで、少し柔らかいイメージに文字全体を変えてあげることができると判断しました。

<修正-3>

「知」の「口」を綺麗な長方形にしました。

修正-1,2で全体的に柔らかいイメージにした際に、FOT-ロダンの「知」では「口」の部分に少し違和感があります。この「口」の部分を綺麗に閉じた長方形にすることで統一感のあるデザインとしました。

また、最後になりますが、実は一番はじめに「動」の1文字だけ、全体の太さを若干細くしています。「動」は他の漢字と比べ画数も多く線が密集している為、重たいイメージになってしまうからです。「動」だけを少し細くすることで、他の文字とのバランスを保ち、また今回のロゴタイプで演出したいイメージを担保しています。

今回は愛知動物外科病院様のロゴタイプデザインについて説明させていただきました。

ロゴデザインをさせていただく際、ロゴタイプに関しては、1)既成フォントを使用する場合 2)ゼロからオリジナルでデザインする場合 3)既成フォントをベースに修正してデザインする場合があります。

お客様より「このフォントを使用してほしい」とご希望をいただくこともありますが、その場合でもそのまま使用せずに、若干の修正を加えることがあります。

お客様が抱いているフォントに対するイメージが、本当にロゴマークとマッチしているとは限らないからです。

お客様のご要望は受け止めながらも、こちらから最適なご提案ができるよう心掛けております。

今後もこの「ロゴの分解」シリーズコラムでは、私がデザインしたロゴマークをもとに、「ロゴの分解」のお話をさせていただきます。次回もお楽しみにしてください!

読んでいただきありがとうございました。

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