波長が合う方と一緒になって
グラフィックデザイナー
トモクサユウタさん
■トモクサユウタ1984年 大阪生まれ。グラフィックデザイン事務所3社、インナーブランディング会社1社を経て、2017年からフリーランスとして活動中。 日本タイポグラフィ年鑑 2021 入選。 ロゴデザインを基点にCI・VI・ブランドデザイン・エディトリアル・パッケージなど幅広くグラフィックデザインを制作。 目から入る情報をより良いカタチにするのが主なお仕事。
中性的なテイストはにじみ出ているのかもしれない
フジタ
今日はよろしくお願いします。
トモクサさん
よろしくお願いします。
本当に個人的な感想で、トモクサさんのデザインとても好きです。
本当ですか。
はい!
何を見ていただけましたか?
ポートフォリオとかいろいろ見させていただいて、トモクサさんの色使い?が好きです。笑
ありがとうございます。笑
デザインから女性らしさを感じています。
中性的な感じは、デザインしているというか、多分自分からにじみ出ている部分なのかもしれないですね。
確かに中性的ですよね。特にこちらのデザイン事例なども色使いがとても良いと思いました…!
ありがとうございます。
こちらのHair salon Teraさんのお話とてもお聞きしたかったんです。
本当ですか、めっちゃいいところです。奈良のお店です。
奈良にあるんですね。
はい。
トモクサさんは出身はどちらですか?
大阪生まれなんですけど、小さい時に引っ越しをして、育ちは奈良なんですよ。
そうなんですね。いつまで奈良にいたんですか?
25、6歳の時まで奈良にいました。
結構奈良歴が長いんですね。それで奈良のお仕事も多くされているんですね。
そうですね。はい。奈良が好きなので。
奈良ってデザインが良いイメージがあります。
デザイン良いですか、奈良はまだデザインの余地がかなり残っていると思っています。笑
そうなんですか。笑 中川政七商店とか…のイメージが強いんですかね…?笑
そうかもしれないですね。奈良は県民性とかもあるのかもしれないんですけど、新しいものに飛びつきにくいというか、突拍子のないものは避けるというか… 店舗自体が自分たちのペースでされてる人が多い印象ですね。
街中行ってみてもけっこうゆったりしている感はありますね。あの空気感が良かったりしますが、全体を見たらちょっとペースが遅かったりするんですね。
空気感は好きなんですけどデザインの余地はあるのになみたいなところは結構あります。
デザインはサポートのつもり
現地で見たわけではないんですが、結構Hair salon Teraさんのこの青色自体目立ちそうだなと思いました。
全然目立たないです。笑
ええ!笑
全然です。めちゃくちゃなじんでいます。笑
なじんでいるんですね。笑 こういうちょっとおしゃれなところにあるんですか?
おしゃれではないですね、尼ヶ辻というローカルな駅の近くにあります。
なるほど。
マンションの下で、少し奥まっています。笑
そうなんですね。笑
価格設定が少し高めなんですが、ヘアケアがサービスに組み込まれていてカウンセリングから新しいヘアスタイルまでその人に合ったメニューを提案してもらえて、とても良いサロンです。メニューによってはヘッドスパもあってすごく贅沢な時間がすごせる場所なんです。
デザインからもそういう雰囲気を感じますね。
ありがとうございます。デザインは、基本的にはサポートのつもりです。
サポートなんですね。実際にここのお店のホットペッパービューティーを見させていただいたんですが、すごい評価が高かったです。
そうなんですか!
「すごい良かった」とか肯定的なコメントが多かったですね。
すごいな、それはぼくの力じゃないので。笑
でもデザインのサポートの力もありますよね。
初めての賞、入選で少し自信になりました
ありがとうございます。4社を経て、2017年からフリーランスとしてやられているんですね。
そうですね、2017年です。
今、案件が多いのは企業さんと個人さんどちらからもお仕事があったりしますか?
はい、最近個人の方からも入ってくるようになりました。SNSで「たい焼きKAGWA」をアップしたら、これを見ていただいた方からご連絡がありました。
このロゴ凄い良いですよね。金賞取られたんですよね。
はい。奈良のデザインアワード奈良GALAというところに応募したら、ロゴ部門で金賞をいただいて、ぼくは賞とか持っていなかったので、初めてで、すごい弾みがついたというか、少し自信にはなってきましたね。その後、日本タイポグラフィ年鑑2021でも入選することができました。
これも色合いとかもあると思うんですけど、パッと見でメジャー感というか。こう並べられた時にちゃんとおいしそうと感じるし、後から読んだら「KAWA(皮)」の中に「G(具)」が入っているのがチャーミングで、これが最初わからなくても、たい焼き屋さんというのは分かるので。なんかメジャー感があって好きです。
嬉しい言葉です。メジャー感。
シードルのロゴも良いですよね。かわいい。このデザインこそ本当に中性的というか。
これはぼくがデザインすると決まった時ときには作家の方も決まっていて、油絵のテイストに合うラベルのデザインをする、というお話でした。
こういうテイストの絵というのは分かっていたんですね。
そうですね。シードルの名前もまだ決まっていなくて、名前が決まったら、ラベルとしてちゃんと見えるようにというお話だったんです。だからロゴをつくる話では全然なかったんです最初は。
絵を含めたラベルのデザインだったんですね。
はい。全体のデザインをさせてもらって、ただここに合う名前とか見せ方だったりを考えると、やっぱりロゴは必要だよなというところに行きついて提案させてもらって、始まったという感じですね。
この絵だけだったら、商品名は入ってくると思うんですけど、逆に主張が強いというかロゴが入ることによってまとまっている気がします。
元々これを飲み終わっても、部屋に飾ってもいいような感じでという先方さんの想いがあったので、この絵を邪魔しないような文字で、と考えたときにやっぱり手書きっぽい感じになるなって。
確かに、そうですね。
色々フォントとか試してみたんですけど、しっくりくるのがこれでした。
実績を見せていただいて、個人的にやっぱり全体を見通したビジュアルがとても良いなと感じますね。このたい焼きとかもキービジュアルの赤を使って全体のツールを統一していくと、それだけでもブランディングができるんじゃないかと思います。
ぼくが思っているのは「ブランディングの一端のVI(ビジュアルアイデンティティ)」をつくるというのが得意かなと思っています。もちろんロゴをつくるのが一番得意で、そこからの展開とか、その見せ方をどういう風にしたらいいのかを考えていくのが、得意かなと最近思い始めています。
ありがとうございます。質問ですが、個人の方からロゴ制作のお問い合わせがあった場合は、どのような感じで打ち合わせなどをされていますか?
そうですね。最近はコロナ禍で直接お会いできない場合も多いですが、会える時は直接訪問して話を聞いて、難しい場合とか遠方だったりするとオンラインが一般的になってきたので、失礼ながらそうさせていただいているという感じです。
最近はオンラインが多くなっていますよね。どのようなヒアリングをされていますか?
ロゴの依頼があったときは、ヒヤリングシートをつくっていまして、それに則して自分の一番聞きたいところを逃さないように聞くようにしています。
ここは絶対に聞くみたいなことはありますか?
展望とかビジョンとか、そういうところはやっぱり聞いておきたいなと思っていますね。
ちゃんとしたものの方が見てもらえる
ありがとうございます。事前ヒアリングで、「会社、店舗、商品、サービスなどの世界観をつくるのが得意」と記載いただいていますが、世界観をつくる上で意識しているところとかありますか?
世界観をつくる上で意識していることですか…。例えばですけど、これだと、「クリスマス×林檎」でみたいな感じだったんですね。なので、これ背景にクリスマスのツリーとかも全くないんだけど、クリスマスを感じませんか?笑
感じます。笑
この光の玉ボケでクリスマスをイメージしてもらいつつ、でもクリスマスじゃないときも発信したいので。
ツリーとか直接的すぎるものは出したくないんですね
そうですそうです。クリスマスの前ぐらいから発信したいという意向だったので。
へー!こういうところはヒヤリングしながらやられているんですね。
Makuake用のキービジュアルの依頼でつくったんですけど。それがいい感じにはまって。
こちらですよね。
今回はキービジュアルも担当させてもらえましたけど、ここは自分たちで用意するとなると、微妙なビジュアルになっていたのかなと思っています。デザイナーでない人がアプリを駆使して作るビジュアルになってしまうと、信用度が下がるというか、やっぱり人って無意識にちゃんとしたものの方が見たくなると思うので。
一目の信用度は全然違いますよね。
Webサイトとかでも、がんばって自分で作ったのかな?みたいなものよりも、やっぱりプロがつくったちゃんとした綺麗なものの方が真面目に見ると思うんですよ。 そういう経緯でキービジュアルといわれたんですけど、Makuakeの他の部分もつくらせてもらいましたね。1000%達成はびっくりしましたけど。笑
1000%すごいですね。笑
元々少し低く設定していたのかもしれませんが…、これはぼくの力だけではなくて、しっかりとしたコンセプトや想いのある良いシードルがあってのことだし、クリエイティブディレクターの方もインフルエンサーなので、その力が全部掛け合わさって勝ち取れた結果だと思います。
全体を見越したデザインを
最近ブランド展開じゃないんですけど、ロゴに付随するものを色々担当させてもらえるようになってきました。
たい焼きの事例のような形ですね。
そうですね。そういう展開までをやっていきたいなと思っています。
めっちゃ良いですね!多分全部任せたいという人絶対いると思うので。
そうですね。
やっぱり商品つくる時は、値段とか色んな要素がそこにくっついて全体のブランディングというのもあると思うんですけど、多分そこをちゃんとデザイナーさんに言い伝えて、全体のビジュアルアイデンティのところをつくってもらえたら、その方のほうが絶対にいいなと思います。
全体やった方がいいですよね。ロゴだけもらって社内で名刺作りますという人も多分いると思うんですけど、そうなると名刺はまた別のものになるじゃないですか。
そうですよね。
ぼくはロゴの使い方もつくらせてもらっています。つくらないケースもありますが。
そういったものもつくってくれるんですね。
結局全部見ていないので、どう使われるかというのをうまく伝えなきゃいけないなというのはあるはあるんですけど、全体の統一感を考えるとできる限り同じ人がつくる方がテイストが保てるのかなと思いますね。
ある程度全体のビジュアルを統一してお願いしたい方とかはぜひ一度お問い合わせいただきたいですね。
そうですね。お店を始められる方って自分はこれできるとかやりたいことは決まっているんですけど、デザイナーに何頼んで何をやってもらえるのか、どこまでやってもらえるのかというのを理解していない人がめっちゃいると思うんですよ。
めっちゃいると思います。
ロゴを頼んだらロゴしかつくってもらえなかったりとか、名刺頼んだら名刺つくってもらえると思っているだけの人が多いと思います。多分デザイナーって名刺頼んだらロゴもつくれるし、そういうところを知らない人があまりにも多いので、それがわかるように見せていければなとぼくは思っているんですよね。
そうですよね。 案件は関西の方からが多いですか?
そうですね、今は関西が多いです。
奈良・大阪ですか?
奈良、大阪、兵庫、京都あたりですかね今のところ。でもやっぱり近い人たちと、やり取りできる方がぼくはいいなと思っています。
僕も場所を知っているって価値高いなと思っているんですね。 門真でお店を出す場合は、やっぱり門真のことを知っているデザイナーさんが良いなと思いますね。
共通の知っている場所とかあるとすごい親近感湧いていいなと思いますね。
「意味のあるもの」をつくりたい
仕事をする上で大切にしていることについて、 「クライアントさんに少しだけ先が見えるようなワクワクできるご提案をすること。 一緒になってカタチをつくっていくこと。丁寧な仕事をすること。」と事前アンケートで書いていただいていますが、こちら詳しくお聞きしても良いでしょうか?
それめっちゃ考えていて、ぼく「意味のあるもの」をつくりたいなと思うんですよ。それはお客さんが今後使いやすいとか、すぐ消えないとかちゃんと機能するデザインにしていきたいというところです。自分の底にあるのはやっぱり意味あるものをつくりたいという想いですね。
発注する側からすると、意味のあるものをつくってくれるのって本当に大切なことだなと思います。 デザインって本当によくわからないって方も多くいると思うので。
見た感じとても良いけど、何が良いかわからないとか多いですよね。
そうなんですね。なるほど確かに。
なので、細かいことは分からないけど、ちゃんとトモクサさんが意味のあるデザインをしてくれたらそういう人も安心すると思います。
先日SNSを見てセラピストの方から名刺作成の依頼があったんですが、結局名刺じゃなくてロゴとショップカードをつくったんですよ。笑
あーなるほど。笑
ヒアリングした時に、名刺がまだくて、PRしていきたいからチラシをつくってほしいという依頼でした。チラシを今つくって何ができるんだろう?なぜチラシなんだろう?と考えました。自分でポスティングするんですか?とか聞いていって、ポスティングしたら、伝わる人はいるけど、何も見ずにポイっと捨てられる可能性も伝えて、それだったら自分で常に持ち歩けて知っている周りの人から伝えられるようなものを、と提案して納得していただき、ロゴとショップカードをはじめにつくりました。
確かに飲みに行って、周りの人とか、そこのお店に渡すというのもできますもんね。
そうなんですよ、名刺でもいいんですけど、名刺はお店を伝えるというより個人を伝えるツールなので。
確かに!そうですね。
ワクワクしてくれてて、良かったと思いましたね。ワクワクしてくれるから、自分のことじゃないんですけど、セラピーのお店のことで悩んでしまいます。
良いですね!僕もデザイナーではないので、ワクワクする気持ちが分かります。
あ、そうなんですね。
元々制作会社の営業兼ディレクターのようなことをしていて、ちょうど中間みたいな感じですね。だからそういう人の気持ちも分かりますね。多分デザインが出てきたときとかってめっちゃ嬉しいと思います。僕がいつもそうなんで。
ワクワクしてくれてて、良かったと思いましたね。ワクワクしてくれるから、自分の事じゃないんですけど、セラピーのお店のことで悩んでしまいます。
はいはい。
店舗もしっかり構えていて、それで多分予算がなくなってしまっているんですけど、看板がないんです。笑
笑
色々考えて。その方にDIYでこういうのがあるけどどうですか?とDIYのご提案をしました。
えー、めっちゃ良いですね。面白い!
自分事にしちゃうというか、一緒になってやりたくなっちゃうんですよ。自分のお店じゃないし、予算をかけられるわけじゃないんですけど、その人の気持ちになっちゃうんですよ。
トモクサさんめっちゃ優しんですよね。ちなみに、ご自身で苦手だと思うことはありますか…?笑
人前で話すのは苦手で、1対1とかだったら大丈夫なんですけど、登壇みたいなのはちょっと苦手です。笑
でもあれですよね、打ち合わせでも多くても向こうが2人、3人くらいですよね。
3人はありますね。
それくらいだったら?
それぐらいだったら大丈夫ですけど、それ以上になるとね…。笑
講演会とかだとやばいですね。
次の日やったら眠れなくなっちゃいます。笑
価値観の合う人と仕事がしたい
ありがとうございます。笑 では、次に今後どういった方とお仕事されたいでしょうか?
京都や奈良で事業をされている方とお仕事したいですね。ぼく奈良に住んでたからかもしれないんですけど。ゆったりしているんで。
確かにゆったりされてます!笑
笑! 奈良の人と気が合うというか、自分がゆったりとした感じが好きなんですよ。せかせかしたくないんですよ。奈良が好きなのと、京都もめっちゃ好きなんですね。古い家屋とか見たり寺社仏閣とか好きなんで。
京都の伝統工芸とかを、トモクサさんの新しいデザインでやってほしいですね。
良いですね。ぼく和のテイストって取り入れるのが得意っぽくて、中性的で無機質な感じと、和の感じとを組み合わせるハイブリッドな感じを、これからつくっていけそうやなと思ってて。
すごい合いそうです!京都のそういった伝統工芸とか扱っている企業さんとか、それこそスタートアップとかも多いと思いますので。ただ、一番は波長が合う方って重要ですよね。
めっちゃ重要ですね。なんかやっぱりノリの違う人はちょっと苦手なので。
笑 こっちまでやる気がなくなっちゃいますよね。
そうですよね。タイミングとか色々すごい重要視してて、ノリの違う人は、波長が合わなかったら結構急かしてきたりするじゃないですか、そういうのはしんどくなるので…。
とても分かりますね。ここは記事を読んでいただいて、なんとなくトモクサさんの感じ?を掴んでいただければなと思います。笑
はい。笑 伝わりますかね?笑
伝わると思います!(謎の自信) では、最後に記事を読まれている方にメッセージなどありましたらお願いします!
ぼくは自分事で考えてしまうことが多いんですよ。波長合うと団結感できたりとか、価値観が近い人がやっぱり合うと思うんで、そういう人とお仕事を一緒にやっていきたいです。
フリーランスの方っていい意味でお客様を選べるじゃないですか。
やっぱり発注する側もそういう意味でも、お金出しているからやってくれじゃなくて、この金額でどれだけやる気を出してもらうかとか、一緒にいいものをつくってもらうかに今後頭を持っていかないと、色んな便利なものが出てきているので、そこに打ち勝つためには、価値観とか合う人と一緒に仕事をするのって重要ですよね。
そうですね、力を合わせるという、できないところを補いあって一歩前進しようよ見たいな気持ちはありますね。
今日は本当にめちゃくちゃいいお話をありがとうございました。
いえいえ、とんでもないです。ありがとうございました。
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