京都の町並みを見下ろすことのできる丘陵地に位置する金戒光明寺。浄土宗の開祖である法然上人によって創建された寺社です。法然上人がこの地を訪れて念仏を唱えた際に、紫色の雲が辺りに立ち込めたことにちなんで、山号を「紫雲山(しうんざん)」としています。
創建以来多くの信仰を集めてきましたが、室町時代末期の応仁の乱で境内の多数の建物を焼失するなど大打撃を受けました。しかし織田信長、豊臣秀吉らの支援を受け、さらに江戸時代になると徳川家の援助を得て多くの建物が再建され、無事復興を遂げました。
江戸時代の復興の際に城郭(じょうかく)風に改修(境内に大軍が一度に入ってこられないような細い出入り口にしたり、多数の軍隊が駐屯可能にする工夫など)されましたが、そのことが後々の新選組との繋がりに関係することとなります。
江戸時代、政治の中枢となる幕府は現在の東京に置かれていましたが、幕府を倒そうする動きは京都で強まっていました。そこで幕府は京都の地を盤石なものとするために、いくつかの重要な拠点を整備しました。その一つが金戒光明寺でした。京都を一望できる抜群の立地にある金戒光明寺は、防衛上の都合が良い拠点でした。そのため城郭風に改修されることとなりました。
金戒光明寺には京都を守る役割を担うために会津藩が常駐しましたが、その配下に置かれたのが新選組でした。新選組は会津藩の配下に置かれてから公式な活動を開始しているため、金戒光明寺が新選組の地と呼ばれる由縁がここにあります。
新選組は京都の治安維持と警備のために、金戒光明寺と京都の市中と行き来する日々が続きました。また境内には会津藩主と新選組の局長・近藤勇が会談をした部屋が再現されており、歴史の舞台を直に感じられます。
金戒光明寺には、秋のこの時期だからこそ楽しめる場所がいくつかあります。通常は非公開の「虎の襖絵」が期間限定で公開されており、襖の開け閉めで数が変化する虎の摩訶不思議な様子が有名です。
境内では、ライトアップされた「紫雲の庭」を期間限定で堪能できます。金戒光明寺を創建した法然上人の生涯や、そのゆかりの人々が庭石で表現されています。池の水面に映る紅葉も大変美しいお庭です。
住所: 京都府京都市左京区黒谷町121電話番号:075-771-2204営業時間:9時00分~16時00分休業日:無休公式サイト:https://www.kurodani.jp/※特別夜間拝観2022年11月18日(金)~12月4日(日)17:30~20:30
東福寺は京都の東山に広大な敷地を保有する寺社で、境内には多数の国宝や名所があり、年中観光客が絶えないスポットです。平安時代に栄華を極めた奈良の東大寺、興福寺からそれぞれ一字ずつ取って「東福寺」と名付けられました。
初めて訪れた方は、まず境内の建物のそれぞれの大きさに驚くことと思います。一つ一つの建物にそれぞれ歴史があり、当時の職人が高い技術力を持っていたことが想像できます。
東福寺には、昭和の名作庭家「重森三玲」によって作庭された庭があります。苔と敷石が市松模様に配置された庭は東福寺のシンボルでもあり、他ではなかなか見られない東福寺ならではの作品です。
重森三玲は、京都のみならず全国各地の寺社仏閣の作庭に数多く携わっています。熱心な庭の研究者でもあったため、日本の伝統を踏襲しながらも独創的なアイディアも多数取り入れる作庭家でした。そんな重森三玲をきっかけに庭にハマる方も多く、観光地を巡る楽しみが増えるかもしれません。
東福寺の紅葉の景色と言えば通天橋と言われるくらい著名なもので、京都の観光ガイドブックやサイトにも多数掲載される建築物です。1380年に架けられた橋が始まりとされており、とても長い歴史があります。橋からは雲海のように広がる美しい紅葉の景色が一望できます。
ただこの紅葉、紅葉の季節だけではなく新緑の季節の青々とした景色もまた、とても素晴らしいものがあります。多数の建築物が立ち並ぶ境内も見所が満載なので、季節を変えて何度か訪れてみても面白いかもしれません。
住所: 京都府京都市東山区本町15丁目778電話番号:075-561-0087営業時間:4月~10月末 9時~16時(16時30分閉門)11月~12月初旬 8時30分~16時(16時30分閉門)12月初旬~3月末 9時~15時30分(16時閉門)休業日:無休公式サイト:https://tofukuji.jp/※夜間拝観2022年11月18日(金)~11月30日(水)17:00~20:00
京都には数多くの寺社仏閣があり、見所が満載です。建築物や景色そのものの美しさはもちろんありますが、その背景にある歴史を知ることでより濃密な楽しみ方が見つかるかもしれません。
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