6月は祭日もなく、雨ばかりというイメージが強いですね。しかし、子どもたちが色鮮やかな傘をさしている様子だったり、ぽんっと咲いたキレイな紫陽花のある庭先や公園、雨上がりのわずかな澄んだ空気など、この季節にしかない「あ、なんかいいなぁ。」とふっと思える風景もありますよね。
この時期の花や木々の緑たちは“恵みの雨”を受けて、いつもとは違った美しさや趣を持っていて、昔から俳句を詠むにもとてもよい時期とされてきました。
梅雨の季節も終盤ですが、「ちょっと良いかも」と思えた梅雨の風景はありましたでしょうか。
さて、今月で5回目となる連載のお手紙。私たちが生産している畑の様子や九条ねぎのコトについて書かせていただきます。
6月の京都、梅雨の季節ということで湿度も高く、京都盆地ゆえのむわっとした湿気の多さ。今の時季は日差しによる暑さより、肌にまとわりつくじとっとした暑さに耐える日々です。
日常生活、室内でもムンムンとした湿気に悩まされますが、場所が畑となるとまた違う湿気に。
土に含まれた雨・水分が蒸発し、足元からの暑さがあります。
そんな中で、いつもと同じ慣れた作業をしているだけでも疲労感が増したり、雨でぬかるんだ土の上を歩くのにもバランスとって気を張ったり。
毎日畑仕事で身体を動かしているとはいえ、目に見えない農人たちの頑張りがあるのです。
どんな環境でも、常に最高のパフォーマンスを発揮できるように、生産性のある動きができるようにと体力づくりも大事。
全ては、「美味しい九条ねぎをお客さまにお届けするために」に繋がっています。
さて、6月から7月にかけては、「夏葱」のお届けに移り変わります。春葱と異なり、今年の春頃から植えた苗たちが育ったものです。
春に植えたものは比較的気候も穏やかですくすくと育ちます。ですが、梅雨に入ると病害虫の脅威が迫ってきます。
数少ない晴れ間を狙っては防除作業を行い、こまめに畑のねぎたちの顔色を伺い栄養を与えたり、品質を維持できるよう管理しています。
また、夏は南丹市の美山(みやま)や亀岡市の山間エリア、海の京都の京丹後市がメイン生産地になります。
京都市内とは違って、冷涼な気候。日中はもちろん暑いですが、ふっと涼しい風も吹くと気持ちがいいです。
さて、夏至を過ぎたのでこれからグッと夏めいていきますね。
素麺、冷やしうどんや蕎麦、冷奴、冷しゃぶなどが食べたくなる季節に。そんな料理たちに欠かせない「ねぎ」という名脇役。皆さんの生活に、引き続き夏も寄り添わせていただきます。
ピリッと爽やかな酸味、ねぎ特有の臭みがない風味の良さ、様々なメニューでお楽しみいただきたいです。
お客さまが喜んでいただけるものづくり、農人一同頑張ってまいります!
こちら、ごまたま素麺。よく食べる素麺のアレンジレシピとして、昨年作ってみて美味しかったので今年も食べたいと思っています。
朝起きて、雨の日だと「今日のお出かけは控えようかな」と少し躊躇しますよね。ただ、この季節になると“雨の日だからこそ行こう”と思えるお気に入りの場所があります。
左京区・鹿ヶ谷にある「法然院」という寺院、哲学の道から少し山側に行くと静かに佇んでいる古刹。
立派な茅葺の山門をくぐると、白砂壇(びゃくさだん)という盛り砂があり、砂の模様は季節を変えて行く度に変わっています。両側にある白砂壇を通ることで、神社で手を清める行為と同じ意味合いになるそうです。
雨は、しとしとと小雨ぐらいの時に行くのがおすすめです。境内の青紅葉や苔、雨でツヤっとした石畳、マイナスイオンたっぷりな自然の空間に癒されます。人気もなく静かで、より趣を感じられます。
大人になって見つけた、京都での梅雨の楽しみ方です。
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九条ねぎを通して、食で感じる豊かさや幸せを多くの方に感じていただきたいと願っています。
「九条ねぎの四季ってどういうことだろう?」「どんな物語があるのだろう?」という部分を、これからも季節に合わせてお伝えできればと思っております。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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