ジェイアール京都伊勢丹地下のお菓子売り場にひと際目を引く青。ジュエリーブランドのような洗練された空間は2022年8月にオープンしたばかりの新ブランド「青久」。日本の伝統的な技と現代に慣れ親しんだパンや洋菓子が見事に融合したスイーツです。コンセプトは「Time with_ 」。今日のおやつに、大切な人へのプレゼントに。4代目ご主人にお話をお伺いしました。
―どのようなきっかけで生まれたのでしょうか?
「もともとは末富の中でフレンチやパティシエさんとのコラボをやっていましたが、やはりお茶の世界や神社仏閣ともお仕事させていただいているので、そこは分けていきたいなと思いまして。今まで培ってきた伝統的なことはきちんと守っていきながら、伝統ってやっぱり変わっていくものだと思うので、違うブランドを立ち上げて今の時代に沿ったものも作っていきたいと思った次第です」
―構想から商品化するまでどのくらいかかったのでしょう?
「コロナ入ってからですので2年かかってますね。一つ一つ作り上げていっていたので、GOを出すのはなかなか難しかったです。はじめと全然違うものになったものもありました。」
―今までの末富ブルーとは違った青ですが、色に込めた思いを教えてください
「今やっていることは青い(新鮮、若い)ものかもしれないですけども、久というのは永遠にという意味があって。伝統として長く続いていくようなものを作り上げていきたいです。
祖父が池田遙邨画伯と一緒に包装紙をあの色に作り上げてきたので、やはり青にはこだわりたかったのですけども、同じ色を使うと結局はまた同じものになってしまうのかなと。もっと力強い青を使うことによって永遠に続いていければ、という願いを込めています」
―末富さんと言えば餡ですが、洋菓子に合わせて原材料や配合割合など変えられたのでしょうか?
「基本的に瓶詰にしてるものはそんなに配合は変わらないです。ただ塩アンパンについては焼き加減を考えて水分を調整します。」
―水分はちょっと多めということですね?
「和菓子屋って基本的に焼くっていうとオーブンではないので、それが通常の餡とは違うかな。アンパンの場合は調整しました」
―今回一番難産だったのは何でしたか?
「味噌餡です。餡に関してはうちの心臓部になるのを全部教えて瓶詰してもらっただけあって、ちゃんとした良いものができました。味噌餡も水分によって多少変わってきたりするのでその落とし具合、どこがベストかってところを見極めるのに苦労しました。
また餡はパンに塗ったり、コーヒーに入れて飲まれても美味しいと思います。」
―ターゲット層やご利用いただく場面についてはどのように意識されたのでしょうか?
「僕が今、同志社女子大学と大谷大学で講師をしてまして、大学生に話を聞くと和菓子屋さんに行ってお菓子を買うということがないんですよね。コンビニで大福もち買ったりどら焼き買ったり、手軽に手に入る。お茶もやかんでお湯を沸かして急須で淹れることはなくて、ペットボトルで十分美味しいお茶が飲める。青久立ち上げた要因の一つに、若い人にもっと親しく和菓子を食べてもらいたいというのがあります。若い方、特に10代20代30代の方に食べてもらって、奥深さを知ってほしいです。
あと本来和菓子屋では贈り物としてきちんと包装紙と熨斗をしてお包みするのですけれども、どちらかというと青久はもう完成品になっていますので、気軽にプレゼントしてもらえるようパッケージにも力を入れました。」
―実際販売してみてどんな反応がありますか?
「ふやきせんべいのチョコレートは割と気軽に若い方に買っていただいています。
あと瓶詰にした台湾カステラ。台湾カステラだけ売るのではなくて、そこに同梱したきな粉と黒蜜をかけて食べてもらう。一つ一つ提案をしています。
ただ単に洋菓子っぽいものを売るのではなくて、食べ方を提案してアレンジしてもらえたら」
―秋にできるカフェについて詳細をお伺いしたいと思います。
「11月末か12月を予定しています。場所は本店のすぐ近く、烏丸通沿いです。
餡をベースにしてコーヒーやオリジナルドリンクを考えています。
末富がやるので餡は外せないと思っていますので、そこに果物や木の実などいろんな材料を入れ込んで商品を作っています。」
―今後新商品を増やしたり店舗を増やすご予定はありますか?
「新商品については試行錯誤してます。できれば京都だけに限らず店舗数を増やして挑戦していきたいなと思います」
―和菓子をベースに新しいことにもチャレンジされていますが、末富さん本体と融合しながらいろんな方にもっと知ってもらえたらいいですね。
「やっぱり一番はそうですね、末富のものを買っていただいている40代50代の方が、お子様にちょっと面白そうだからって勧めて広がっていけば、良さが伝わるかなと思います。
ふやきせんべいって和菓子屋の定番なんですけどね、やっぱり買いにこられる方って年配の方が多いんですよ。普通しょうゆや味噌を塗っているものですが、チョコレートをかけることによってもっと若い方にも広がっていけばいいなと思います」
―結構若い方は食べず嫌いのところありますよね。
「たぶん食べたことないっていう方もいはると思うので、まず興味をもってもらえたら。
餡とふやきのセットには、ふやきが3種類あります。ちいさいのとかための小判型とシナモンのと。これに餡をつけて食べてもらう。色も形も食感も少しずつ違うので食べ比べしたら楽しいと思います」
奥様と一緒に何度もトライ&エラーを繰り返してようやく生まれた青久。若い方や今まで末富を知らなかった方にも気軽に手に取ってもらいたい、そんな思いが詰まったお菓子です。是非、一度新しい末富ブルーを手に取ってみませんか?
ブランド名:SUETOMI AoQ(青久)販売場所:JR京都伊勢丹 地下一階 和菓子売場 〒600-8555 京都府京都市下京区 烏丸通塩小路下ル東塩小路町公式サイト:http://aoq.jp/カフェスタンド:2023年2月初旬冬頃オープン予定 〒600-8427 京都府京都市下京区 松原通室町東入玉津島町319
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