KYOTO LETTER 編集部
春夏秋冬それぞれに違った景色を見せる京都。素材の味を活かした旬のお料理が楽しめるのも京都の魅力ですよね。今回は五感で四季を味わえる老舗料亭、京懐石美濃吉本店「竹茂楼」さんをご紹介します。写真を撮らずにはいられない、目にも鮮やかなお料理がたくさん出てきますよ。
「料亭」「懐石料理」と聞くと、どことなく大人の「ツウ」が楽しむものだと思っていませんか？
そんなハードルを少し低くしてくれるのが、美濃吉の本店「竹茂楼」さんです。創業は享保1716年ですが高級料亭としての業態は1992年から。それまでは大衆食堂のような庶民に親しみのあるレストランだったそうです。
場所は左京区の岡崎エリア。平安神宮や南禅寺、近代美術館や京セラ美術館などの観光スポットが集まる観光地の一角にあります。
美濃吉の歴史のスタートは腰掛茶屋。今でいうオープンテラスのカフェのような茶店でした。岐阜県大垣（美濃国）から移って来た佐竹十郎兵衛の妻ふみが三条大橋の傍で始め、徐々に規模を大きくしてきました。今の場所に移ってきたのは昭和25年頃。2022年現在の会長で10代目だそうです。
川魚生洲と書かれた暖簾をくぐると数寄屋造りの本館があり、その奥に合掌館があります。ほとんどの部屋が畳にイステーブルを置くスタイルで、他には掘りごたつの部屋もいくつかあります。部屋から眺める竹林がすがすがしい！雑念を消してくれます。
懐石料理とは茶の湯におけるお茶をいただく前に腹を満たす食事のこと。先付、椀物、向付、焼物、煮物、強肴、ご飯、水物、そして最後にお菓子と抹茶が出されます。フルコースでお腹いっぱいになること間違いなしです！
名物はウナギ。お昼の一部を除くほとんどのコースでご飯のときにウナギのかば焼きご飯が出てきます。関東風の焼き方のふっくらしたウナギ、新潟県南魚沼産コシヒカリ、秘伝のタレの相乗効果は抜群。どんなにお腹いっぱいでもペロリと平らげてしまうほど！他にも五月には鯉こく、初夏～秋には鮎の塩焼きなど季節ごとに様々。スッポンのエキスの入ったお椀や琵琶湖でとれる本諸子の山椒煮もあります。
ウナギの次にファンが多いのが鮎の塩焼きだそうで、滋賀県産の小ぶりの鮎はまるで泳いでいるようにうねって串に刺され、炭火で焼かれます。外はサクッと中はふわっと軽やかな食感。鮎のほろ苦さと程よい塩気が絶妙にマッチします。
京懐石は五感で味わったあと余韻に浸り、さらに話が弾みます。１つのお料理で何通りもの楽しみ方ができるのです！
「懐石料理は品数が多いので、どうしても2時間半～3時間かけてお食事を楽しんでいただくことになります。ですのでもしお急ぎのご用事がある場合はご予約もしくはご来亭の際におっしゃってください。またアレルギーや苦手なものがあればお気軽に教えてくださいね。」
席の趣旨によって部屋の室礼や器がガラリと変わるのだそう。「例えば還暦のお祝いでしたらおめでたい文様の器や赤い折敷にしたり、長寿を祝うお軸に替えたりします。ご要望があればケーキや花束の手配も承ります。以前海外からのお客様で、サプライズでプロポーズしたいと事前に段取りを打ち合わせしまして、結果大成功した、ということもありました。どういったお席なのかお伝えくださったら、こちらもできる限りお手伝いさせていただきます！」
どんな人たちが利用するのかちょっと気になるところ。「平日の昼はご友人と会食、平日夜は会合や企業の接待が多いですね。週末はお顔合わせやご家族でのお祝い、お食い初めなどもあります。近くの平安神宮や下鴨神社で挙式をあげてから竹茂楼でご披露宴をされるプランもあります。」
以前からお取り寄せはありましたが２年半ほど前から商品の数を増やしたり、お弁当の配達を受け付けたりと時代に合わせて柔軟に変化してきました。お取り寄せで人気なのは、うなぎの姿寿司、鍋物、わらび餅など。料亭の味が自宅で味わえるのは嬉しい限り！贈り物にも最適です。
日本にいながら世界中のグルメが味わえたり、手軽なものが好まれるようになった今。和食は身近にあるようで日常から少し遠ざかりつつもあります。2013年には和食が無形文化遺産に登録されました。改めて食の奥深さや季節感、日本人の美意識を再確認したくなりました。
■店舗情報
京懐石美濃吉本店 竹茂楼京都市左京区粟田口鳥居町65ご予約・お問合せTEL：075-771-4185公式ＨＰ：http://www.takeshigero.com
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