昔ながらの懐かしさを今に伝える、地球に優しいお店
二条城近くに位置する主鋭町 - そこに一件の八百屋があります。どこか懐かしくて新しい、洗練された雰囲気を醸し出す店構え何かと便利な時代になったけれど、未来に遺したいものは何なのか…ということが発見できるかもしれない。そんな場所です。
高知県出身の店主。進学を機に京都へ上京、卒業後はアパレル勤務を経て在京10年程のタイミングで宮古島へ移住。宮古島での生活は ”自分が生きる上で何を伝え遺していきたいのか” を見つめ直す時間となったそう。
野菜と料理が好き、そして故郷高知の野菜をもっといろんな人に食べてほしい。そんな想いから、2021年京都に店を構えることに。
屋号は、自然のままの広々とした田畑という意味を持つ「野(や)」と「野(の)」を大切にしていきたいという思いから名付けた。
※高知野菜四国山脈と太平洋に囲まれた特殊な地形、燦々と降り注ぐ太陽の光と日本一の森林割合(約84%)のおかげで年間を通じて農作物が豊富に収穫ができる瑞々しく味がしっかりているのが特徴
開業前から気になっていた八百屋さん。昨年夏に初めて訪れた時の第一印象は ”ノスタルジックで懐かしい...でもなんか新しい”
そして何度か通ううちに感じたこと、それは ”便利さに頼りすぎない、現代で言うところのSDGsな店”そこで気になることを店主に色々聞いてみました◎
ノスタルジックで懐かしい、洗練された店構え
Lisa.kyoto
ノスタルジックな懐かしい雰囲気の様で、シンプルに洗練されている店構えが印象的です。 お店作りをする中で意識はされているのでしょうか?
野と野
無機質なものはあまり使わないようにしています。 殆ど古道具なんですが、 まだまだずっと使えるし、違う方法で使われていたものを工夫して大事に活用しています。 それに、見た目が古い物って古くならないじゃないですか。 野菜を入れている皿鉢(さわち)も実家の物なんです。この木の丸盆も。
皿鉢に木のお盆...懐かしい、昔は結構どこの家にもありましたよね!
そう、どこの家にでもあるような、かつては使っていたようなものを今活用しています。 あとは、建物が古いですし街並みにも自然と馴染むような店構えにというのはあります。 元々この通りは呉服屋さんで栄えたいたそうなんです。 この建物も、何度か改築などを経ているようですが、昔は丁稚奉公に来られた方が共同で暮らす家だったようです。
広い間口の店内は写真で見るよりも開放的。壁には枝物の植物が何気なく吊るされており、木箱を巧みに組み替えて日々レイアウトも自由自在。竹籠や皿鉢など、あらゆる生活道具を上手く活用している。壁掛けのボンボン時計や呼び鈴など、何気なくそこにある昔ながらの生活道具が、ノスタルジックで懐かしい雰囲気を醸しだしているよう。必要なものを必要なときに揃えているというスタンスが、良い塩梅に洗練さを感じさせるのかもしれない。
店内には新聞紙や書道用の半紙があらゆるところで活用されている。
書道のお稽古で使った半紙に水を含ませ、青果の保湿に使うんだとか。
学校帰りの小さい常連さんが多いこのお店。
子供たちにとっては、ここで知る昔の道具や知恵の数々は、新しい発見のようです。
新聞袋を折って買い物袋として使っていたり、持参した容器にお惣菜を入れてくれたり、エコやSDGsにしっかり取り組んでいらっしゃる印象です。
んー、然程意識してということはないかもしれないです。 人の手で作ったものをビニール袋に詰めると無機質に見えて...。 大事に育てられた農作物を、人の手で折った新聞袋に入れることで ”もうひと手間加えられた” という温かみを伝えたくて。 容器がある人にはそれにお入れしたり、近所の常連さんにはそのままうちの食器でお渡しして、翌日容器を持ってきていただくということもあります。 シンプルに、何でも無駄にしないというメッセージを込めています。
意識せずとも実践されている事が、自然とSDGsに繋がっているということですね。 本当に私たち世代にとっては懐かしいスタイルですが、今の若い世代や子供たちにとっては新しいスタイルに映るのかもしれませんね。
八百屋をはじまると決めた時、宮古島で暮らしていた店主。当初はとにかくSNSを駆使し、ご縁を頂けた農家さんのところに足を運んだそう。仕入れ先の殆どが地元高知県というだけあって、知り合いの知り合いだったり、他の農家さんを紹介してもらったりと、縁が縁を紡いでいるという。
青果・自家製シロップ・惣菜・加工品
旬のものをいろんな形で楽しめますね◎そしてかなりお手頃な価格ですね。
農家さんが大切に育てたものなので、それに対して自分だけが利益を得るのはちょっと違うかなと思っています。 できるだけ農家さんが対価を得て、より多くの人に美味しい青果を食べていただきたい...ってなると、やはりお求めいただきやすい方が良いですよね。 商売としてはどうなのかなってところですけどね(笑)
そこは美味しいお惣菜を作ってお客様に満遍なく購入いただけるように頑張ります!(笑)と意気込む店主。せっかくの美味しい素材、どういう風に料理すると美味しいのか、お客様との会話の中からヒントを得ることもあるそう。
元々料理が好きで、目の前に良い素材が並んでいる環境なので、何を作ろうかワクワクする日々を送っているようです。
自家製シロップ・瓶詰めお惣菜はリピーターさんも多く好評。
季節のおやつも取り揃えており、誕生日におやつをご注文される方もいるんだとか◎
私も必ず軒先で自家製ジュースをいただくのだけれど、どれも素材の味がしっかり感じられて雑味がなく美味しい。
素材・惣菜・おやつ・飲み物、 食卓を野と野(yatono)のもので彩って頂けると嬉しいです。
店主のことば
今って便利すぎるんですよね。便利すぎて、意外といろんなことができる時間や手間をかけたりできる時間はあるけれど、何だかそれに気づかず、いつも皆さん忙しくしているんで… 結構それは凄く疑問に思っていて。冷蔵庫・炊飯器・洗濯機など、便利な物を使うとその分時間の余白ができますよね。 その時間を、新聞の袋を折ったり野菜を調理する時間に当てて、、、そういう風にあまり環境に負荷をかけない暮らしに変えていきたくって。それがお店のスタイルとして伝わればいいなと思っています。 そういう暮らし方が伝わればいいなって。
やっぱり人間は自然の一部であって自然から恩恵を受けて暮らしているっていう事が伝わったらいいなと思いますね。
営業 - 10:00 頃 〜 日没
不定休(Instagramでチェック要)
〒602-8155京都府京都市上京区主税町1090−2
千本旧二条 バス停より 徒歩4分 (駐車不可)
取材後書...
便利すぎることに少々疲れ気味の人も増えているのではないかと思う現代。確かに便利はありがたい事です。では、その便利さを活用してできた余白に何をするか...... そんな事を改めて考えさせてくれるほど時間の流れが長閑(のどか)で、昔ながらの日常生活を垣間見ることができる場所でした。
野菜の事だけでなく、どんな生活が送りたいかヒントを得にふらりと寄ってみて欲しいお店です。
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