京都モノクロルーム
-フィルム写真の世界へようこそ-第一回目


写真、撮ってますか?《画面の前のあなた「撮ってまーす!」》、はい、ありがとうございます。《あるいは「撮ってませーん!」》、なんですって!一緒に撮りましょう。

フィルム写真の世界へようこそ

はじめまして。ヨーフリーアラタです。まず最初にこの素晴らしいウェブメディア『京都レター』に文章を乗せていただけること、それから今読んでもらえていることに感謝いたします。私の連載『京都モノクロルーム -フィルム写真の世界へようこそ-』では、フィルム写真を中心に、写真に関する様々なことをお話していく予定です。


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第1回目は写真について

第1回目は写真についてざっくりと説明していきます。なんだかいきなり本質に迫るような感じがしますね。京都モノクロルームとは何だ、ヨーフリーアラタとは誰なんだ、の謎はもう少しそのままにしておきます。いささか小難しい話になりますが、温かいお茶でもすすりながらゆっくり読んでってくださいね。

あ、そうそうお茶といえば私は練りきりが好きなんです。練りきりって分かりますでしょうか。和菓子で、一口サイズで、花をかたどったものがあったり、結構目で見て楽しいお菓子で。デパ地下とかで売ってるの見たことあるはずです。あ、デパ地下っていうのは「デパートの地下」の略なんですけど……………………

…………さて本題。
写真とは、像・イメージ・視覚的刺激・風景を記録する技術のことであり、得られた画像記録のことです。目で見ている情報をあとから見られるように残す技術/行為と、その行為によって残されたモノのことです。

で、その写真は記録の方法で——要は何に記録するかってことです——大きく2種類に分けることが出来ます。デジタルデータとして記録するデジタル写真と、写真用フィルムに記録するフィルム写真です(フィルムのことをデジタルと対応させてアナログと言うこともあります。同じことです)。それから、その色合いでも2種類に分けることが出来ます。カラーとモノクローム(モノクロームのことをモノクロと言ったり白黒と言ったりもします。同じことです)です。デジタルとフィルム、カラーとモノクローム、対義語の組み合わせが2ペア出てきましたね。ここまでは大丈夫でしょうか。

たとえば皆さんが普段スマホで撮影されている写真は「デジタルかつカラー」だと言えるわけです。それから“写ルンです”で撮られた写真は「フィルムかつカラー」。つかめてきましたか?「デジタルかつモノクロ」は、デジカメやスマホの白黒モードで撮った写真。そして、私がワークショップで題材としているのが「フィルムかつモノクロ(モノクロかつフィルム)」の写真です。白黒でしか写らないフィルムも存在するんだ、と今ここで初めて知った方もいらっしゃるかもしれませんね。でもどこかで絶対に白黒の写真を見ているはず。カラーのフィルムが無かった頃、写真はすべてモノクロフィルムで撮られていたのです。はい、一旦ここでお茶をすすりましょう。ずずずず……

カラーとモノクロームの一番大きな違い

でね。カラーとモノクロームの一番大きな違いってなんでしょう。ほとんどの人が同じように答えるはずです。「いろんな色があるか/白とか黒とかグレーの色しかないか」。私もまずはそう答えます。さっきも言ったように昔はモノクロのフィルムしかありませんでした。しかし世界には「目に見えているような色で残したいんやけどな……でけへんかな……でけたらええのにな…………」という気持ちの人もたくさんいて、そしてやがてカラーで記録できるフィルムが登場したのです。

デジタル写真とフィルム写真の決定的な違い



つぎに、デジタル写真とフィルム写真の決定的な違いってなんでしょうか。なんだと思いますか。辞書通りに答えるなら、先ほど説明したように「データとして記録するか/フィルムに記録するか」となるでしょう。正しいです。
でも私は、決定的な差異はそこにないと考えているのです。

(感じ方は人によって異なるし、正解はないけれど)私は直接触れられるか/触れられないか、こそが大きな違いだと考えています。どういうことか。

デジタル写真はデータです。像を触ることは出来ません。0と1で構成された、データです。パソコンを抱えたりSDカードを握りしめたりしても、写真を掴んだことにはなりません。一方フィルム写真は、像がフィルムに記録されるため、手でぺたぺた触ることが出来ます。身体感覚、触覚との結びつき、これがフィルム写真ならではの特徴だと言えるわけです。私は写真家として撮影行為および記録媒体と、身体感覚および身体性との関係について日々考えています。※このあたりの詳しいお話は連載の第2608回目、第2609回目、第2610回目で論ずる予定です。

更に違いはあります。記録した像・イメージを紙に残す方法も、デジタルとフィルムでは異なるのです。

みなさんはデジタル写真をどうやって紙に——つまり「写真」に——していますか?ディスプレイに表示しておいて画用紙に鉛筆で描き写したりしてますか?たぶんしてないですよね。ほとんどの人はデータが入ったスマホやパソコンを、そこへ接続したプリンターから印刷して写真にしているはずです。

じゃ、フィルム写真——ここではモノクロのフィルム写真(フィルムの白黒写真)としましょう——はどうやって紙にするんでしょうか。………………おっと!もうこんな時間!ここからが面白いのですが、今回はここまで。最後まで読んでくださってありがとうございました。京都モノクロルームからヨーフリーアラタがお届けしました。

今日のまとめ

・写真にはデジタル写真とフィルム写真がある。
・カラー写真、モノクロ写真という分け方も出来る。
・全ての写真は基本的に、デジタルかつカラー、デジタルかつモノクロ、フィルムかつカラー、フィルムかつモノクロのどれか分類できる。
・デジタル写真とフィルム写真は記録する方法だけじゃなく、紙にする方法も違う(らしいぞ)。

次回はモノクロフィルムについてお話します!お楽しみに!



京都のモノクロルーム公式サイト

https://www.monochroroom.jp/


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