実際に空間を体験することで、その“建物”の「なんか、いい」をお伝えする「京都空間デザイン探訪」。京都にこんな場所があるんだ、場所は知っていたけれどこんな場所だったんだ、と思ってもらえるような場所をご紹介します。
今回は、前回に引き続きTSUGU 京都三条さんをお伝えします。
前回は「共用部・辰野金吾編」をお伝えしましたが、今回は「客室編」をお伝えします。ビルを改修したリノベーションホテルなので、客室のデザインも気になる所ですよね。
それでは、客室のしつらえもひも解いていきましょう。
三条通にあるTSUGU 京都三条。
実は、このホテルの角にあるジュエリーを扱う寺内宝飾さんが入る印象的な建築物は辰野金吾という有名建築家の設計。辰野金吾の代表作は東京駅。建築好きの方は、「おお!」と思われるポイントです。
TSUGU 京都三条は株式会社リビタが運営するTHE SHARE HOTELSの一つで、日本国内で9店舗を展開。
ネーミングのTSUGUは「継ぐ」という意味がこもっています。
そんな京都三条から「ローカルへ旅を継ぐ」というコンセプトをもとに、”日本の各地へ旅してみたい”ような知らなかった魅力に心を馳せる工夫が随所に感じられます。この想いを知り、空間を体験すると、時が来たらぜひ各地を旅してみたくなりました。
TSUGU 京都三条の客室は、やはりリノベーションホテルらしく、コンクリートやダクトがむき出しのデザイン。
細かなパーツや素材は合板や工業デザインを思わせるようなものばかりでしたが、どこか繊細さを感じるしつらえ。
窓面の扉はメキシコの建築家、ルイス・バラガン建築のバラカン邸でも使われていた手法。
閉じれば完全遮光になりますし、光の取り込み方がアートっぽくなります。
扉には和紙を壁などに貼る手法の重ね張りをイメージさせるデザイン。とても、細かいポイントですが、この1点をこだわることで「和」っぽさがぐっと引き出されます。
客室内にアクセントになる「テーブルライト」。
行灯のようなデザイン。
華奢なフォルムながら、真鍮が効いていて素敵です。
客室前の廊下デザインはモダンながら、こだわりを感じられるデザイン。ここでも、華奢で繊細さを感じられるポイントです。
客室サインはとてもシンプル。
床面に注目すると、カーペットの張り分けが独特です。
アールがかった角がおしゃれで、コントラストでメリハリがあり、真鍮がアクセントになっています。
TSUGU 京都三条では共用のキッチンがあります。そのキッチンが魅力の一つなので最後にご紹介します。
入ってしまうと、シンプルな空間が広がるのですが、
入り口がかなりアクレッシブな感じ(・・・オレンジ色のドアが入り口です笑)なので、一瞬ドキッとしますが勇気をもって入ると、この景色が広がります。
ワークスペースとしても活用できるので、私も仕事をさせていただきました♪(Wifi・コンセント完備です)
さらにここでも、「辰野金吾View」を楽しんでいただけます♪
近くで見るなんて、なかなかない体験なので。思わずテンションが上がりました!
このように客室も、和を程よく感じられるようなおしゃれなしつらえのTSUGU 京都三条。シェアキッチンではおしゃれな音楽も流れており、テイクアウトしたコーヒーや食事も楽しめます。
※)個人的には、お部屋のお風呂が浴槽付きのUBタイプだったので、ゆったり湯船に浸かれるのも良かったです♪
登録有形文化財が一部のこるTSUGU 京都三条。共用部から続いて、客室もリノベーション感がほど良く残り、空間を体験することを通して建築って面白いなと思える工夫があるので「昔からの記憶を継ぐ」が感じのあるホテルでした。
京都で感じられる空間の「なんか・・いい」を次回もお伝えします。お楽しみに。
【訪れた場所】
■TSUGU 京都三条 by THE SHARE HOTELS|京都市中京区
京都府京都市中京区三条通柳馬場西入桝屋町75
トータルプロデュース/株式会社 リビタ
テナント(アパレル)/株式会社 ジョンブル
テナント(CAFE & BAR)/株式会社 キノシタショウテン
統括設計/株式会社 coto
グラフィックデザイン/高い山 株式会社
植栽/株式会社 叢
ユニフォームデザイン・制作/makerhood/メーカーフッド(株式会社 ジョンブル)
アートワーク/山城大督
キュレーション・コンテンツ企画/高山健太郎(株式会社 ノエチカ)
施工会社/石黒建設 株式会社
FF&E 設計監理/seventh-code 株式会社・株式会社 Atelier Loöwe開店:2019年5月31日
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