京都の素敵な商品を、デザインの視点からご紹介するKYOTO LETTERのコラム。今回は、「小倉山荘」の代表銘菓「をぐら山春秋」をご紹介します。
京都・長岡京にある「小倉山荘」の代表銘菓「をぐら山春秋」は、小倉百人一首を題材にしたユニークなおかきです。
小倉百人一首とは、遡ること鎌倉時代、歌人・藤原定家が後鳥羽院に贈るため、京都嵐山の小倉山荘で選んだとされる和歌集です。一歌人につき一首、合計百首を選び集め、その内容は、恋、四季、旅の歌など様々。
「をぐら山春秋」には、それぞれの和歌が放つ世界観が、包み紙からひとつひとつのおかきに至るまで細かく詰め込まれています。
「をぐら山春秋」は、小倉山荘のこだわりのあられ六菓撰です。
左から、かささぎの横に降りた霜に見立てた「ザラメあられ」。春に散る花を表す「えびあられ」。秋のもみじを表す「あおさのりせんべい」。黒染めの袖に見立てて海苔を巻いた「海苔巻きあられ」。夏のならの葉に見立てた「黒ごませんべい」。そして、夏の月のように丸い、3種の味わいのせんべい。そのせんべいひとつひとつにも、それぞれにぴったりの和歌が当てられているというのですから、そのこだわりぶりには驚きです。気になる方は、是非公式サイトでチェックしてみてくださいね。
こだわりの自家農園で米づくりからこだわったおかきはパリパリと食感良く、異なる美味しい味わいに、食べる手が止まりません。全て食べ終わると、透明な容器の底にも和歌が書かれていることに気づきます。こうした細かな演出は、食べる人をより深く和歌の世界にいざない、何気ないお茶の時間を豊かで贅沢なものにしてくれることでしょう。
丁寧に包まれた包装紙のデザインにも注目です。温かみのある優しいタッチで描かれるのは、四季折々の花や植物。和歌にも表現されている日本の自然や四季の美しさは、いくつもの時代を経た今を生きる私たちにとっても、変わらず心に訴えかけるものです。開ける前からわくわくするようなデザインの包み紙は、食べ終わってからも大切に取っておきたくなるほど可愛いデザインですよ。
数ある和歌の中には、特定の誰かに向けて詠まれる「贈答歌」というものがあります。大切な人に向けて、想いを伝える贈答歌。当時の人々の想いは、歴史を超えて、今を生きる私たちの心の中にも響きます。そして、私たちの頭の中に大切な誰かの顔が浮かぶとき、日頃の感謝やお礼をお菓子に寄せて、大切な誰かの心に想いを届けたいものです。かつて、多くの歌人たちが、和歌を詠ったように。
小倉山荘「をぐら山春秋」:https://www.ogurasansou.co.jp/shop/c/c1010/
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