京都モノクロルーム -フィルム写真の世界へようこそ-第三回目

ヨーフリーアラタ

ささ、お待ちしておりました。はじめますよっ。この連載『京都モノクロルーム -フィルム写真の世界へようこそ-』は京都モノクロルーム管理人、わたくしヨーフリーアラタがフィルム写真を中心に、写真に関する様々なことをお話するものです。連載 3 回目の今回は「どきどきプリント編(2)」と題して、[いらすとやさんの「暗室」のイラスト、一体何してるのか問題]をまるっと解き明かしていきます。ネガフィルムの像が露光された紙を「写真」にするために行う薬品処理についてお話しましょう。

前回のおさらい

1.モノクロフィルムはプリントという作業で写真にする。
プリントは印画紙に像を焼き付ける作業と、その印画紙を薬液で処理する作業で構成されている。

2.ネガフィルムを印画紙に露光(投影と同じ意味合い)するためには引き伸ばし機という機械を使う。

露光済みの印画紙を写真にするための工程

露光済みの印画紙を写真にするためにはいくつか工程を踏まなくてはいけません。3段階の薬液処理と、後処理に分けることが出来ます。順番に説明します。今回も説明がメインです。頭がこんがらがる前に、いったん CM でーす。



おばちゃん「あ~あ、フォーカスも露出もマニュアルのフィルムカメラをつこてみたいわあ。そやけど、むつかしいこと何にも分からへんねんなあ……」
ヨーフリーアラタ「それなら、京都モノクロルームに、おまかせください(棒読み)」

子ども「35 ミリモノクロフィルムの、さつえいからげんぞう、プリントまでたいけんできるがっこうがあったらいいのに!!」
ヨーフリーアラタ「ありますよ(棒読み)。京都、モノクロルームに、遊びに来てください (棒読み)」

若い男性「大判カメラってどんなカメラなんだろう」
若い男性2「大判カメラに興味があって始めてみたいけどやっている人も周りにいなくて心細いです」
ヨーフリーアラタ「大判カメラの、ワークショップも、やってます!(棒読み)」

ナレーター「風光明媚な嵐山(らんざん)に写真表現の花開く……」(♪雅楽)
ナレーター「あなたの撮りたいを応援します」
ナレーター「阪急電鉄松尾大社駅徒歩 10 分。京都モノクロルームへ、」
ナレーター&ヨーフリーアラタ「「おこしやす~!!」」(渡月橋の映像)


「この連載は『京都の”好き”が見つかる web メディア、KYOTO LETTER』の提供でお送りしております」

部屋が赤い理由

さてさて、では薬品の処理を説明していきます。

おっとっとその前に、なぜ部屋が赤いかというところからご説明しなくてはなりません。実は印画紙はフィルムと同様、光に敏感なんですね。その敏感さが像を写し出すためには必要なのですが、明るさにめっぽう弱い。薬品処理をする前に光を浴びてしまうと、せっかく引き伸ばし機で焼き付けた像もパーになってしまいます(なので暗室ではスマホ厳禁!)。

ですが、特定の波長の光には反応しないんですね。モノクロ印画紙の場合は赤です。赤だったら何でもいいわけじゃなくて、特定の赤です。この照明をセーフライトとかセーフランプと言います。

動物園や水族館の爬虫類ゾーンなんかも暗くて赤い場合があるのですが、ピンときますかね。暗室もそんな雰囲気だとイメージしてください。生き物としての本能が刺激されるのか、なんともわくわくします。一眼レフのファインダーを覗く時に似た、静かな興奮があります。

薬品処理の三段階「現像・停止・定着」

そして、薬品処理です。ここで印画紙の像を目で見えるように浮かび上がらせて、そして暗室の外でも見られるようにします。現像、停止、定着の 3 段階。さ、皆さんも一緒に「現像・停止・定着」!。(画面の前のあなた《現像!停止!定着!》)「ミラー・合図・目視」 みたいに何度も唱えるとやがて覚えられます。

これらの薬液は混ざってはいけないのでバットを 3 つ用意します。例えば現像液に停止液が混ざってしまうと液のパワーがダウンするのです。いらすとやさんのイラストも 3 つのバットを並べていたのは現実に忠実だったんですねえ。この彼は印画紙を停止液に漬けているのです。停止液のバットには現像が終わって入れたところなのか、定着させるために引き上げようとしているのか、どっちなんでしょうね。

バットの隅に添えられているのが印画紙をつまむためのトング、「竹ピンセット」略して 竹ピンです。こちらも液同士が混ざらないようにするため、3つ用意します。竹(ちく) ピンと呼びたい気持ちは分かります 。よーく分かりますが抑えてください。たけピンです。

焼き付けられた像はなぜ浮かび上がってくるのか、という原理について詳しく説明はしません。理系の方は各自調べてください。文系の方は「ねるねるねるね」みたいなものだと思っててください。私も文系です。ま、でもでも難しい理屈は置いといて体験しに来てください。この文章を書いた人間があなたをいつでも歓迎します。

無事に定着まで済んだら、印画紙に残っている薬品を洗い流す「水洗」の作業です。ここで水洗を促進させるための薬品を使うこともあります。それが終われば「乾燥」。 いらすとやの彼も写真を吊っています。これは「乾燥」をしているわけです。

今日のまとめ

今日のキーワード
・現像液……引き伸ばし機で投影した像を浮かび上がらせる不思議な液体。
・停止液……現像液の化学反応を止める不思議な液体。ものすごく酸っぱい臭いがする。
・定着液……像を印画紙に定着させる不思議な液体。

と、いうわけで第 3 回「どきどきプリント編(2)」はここまで。次回の内容は未定です(!?)。2 回目から間が空いてしまいすみませんでした。今回【撮影→現像→プリント】 のプリントについて説明したので、次回は【現像】について語るべきですが、まだ何にも決めてません。YMO のこととか書いちゃおうかなと思ったけど普通に怒られそうなのでやめます。

最後まで読んでくださってありがとうございました。京都モノクロルームからヨーフリーアラタがお届けしました。次回(いったいいつになるの!?)もお楽しみに!


京都モノクロルーム公式サイト

https://www.monochroroom.jp/

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