KYOTO LETTER 編集部
京都は類稀なるカルチャーの都。実は京都が誇るカルチャーは「和」だけではないのです。美術館で最高にわくわくするひと時を過ごしませんか?絵画や刺繍に、漆まで。KYOTO LETTER編集部がコレクション展を観に、MoMAK〜京都国立近代美術館〜へ行ってきました!
こんにちは!本日はMoMAK〜京都国立近代美術館〜コレクション展をご紹介します。
京都といえば和風情緒が溢れる都です。しかし、実は京都が誇るカルチャーは「和」だけではないのをご存知でしょうか。京都は美術館や博物館がたくさん集まった、類稀なるカルチャーの都でもあります。
本日はMoMAK〜京都国立近代美術館〜で2023年4月の頭まで開催されていた展覧会&コレクション・ギャラリーをご紹介します。
美術館では、一時期に大きく分けて2つの美術展が開催されるのが一般的です。
ひとつは「企画展」と言います。よく聞く「フェルメール展」「ルーブル美術館展」「べルクグリューン展」など、作家名や地名、美術館名がついている展示は企画展です。
よその美術館などからお借りしてきた絵を飾る展示。それが企画展です。つまり普段はその場所にない作品を展示しています。
企画展の素晴らしい点は、全国巡回などをしていることが多いところです。東京、大阪、名古屋、北海道などを同企画展が巡ることがあります。気になる企画展が気軽に、お住まいの地域で見ることができるかもしれませんね。海外旅行をしないと本来目にすることができないような企画展も多いです。
作品の方から、あなたに会いにきてくれるのが「企画展」です。
もうひとつが「コレクション展」です。コレクション展とは、普段所蔵している美術館で展示されている状態です。
上の例えで登場した「ルーブル美術館展」がルーブル美術館で飾られている時には「コレクション展」として展示されています。MoMAK〜京都国立近代美術館〜も数多くのコレクションを所有しており、年間を通して、数回作品を切り替えながら「コレクション展」を開催しています。
コレクション展の素晴らしい点もたくさんあります。まずは、気に入った作品にはいつでも会えることです。年中同じ作品が飾られているわけでないのですが、また数回先のコレクション展で必ず見ることができます。「企画展」では会期後に外国へ帰ってしまい、もう次はいつ日本で見られるかわからない作品も多くあります。「コレクション展」ではそのような心配はいりません。
さらに地域ゆかりの作品が所蔵されていることも多いです。近所をモチーフにした作品や、地元のアートファンの私物から寄贈された作品が集まっています。
いちばん分かりやすい違いでは、コレクション展の方が入館料が安いです。理由としては、輸送量や保険、取引値のようなものがかからないためです。美術館にもよりますが、「企画展」では2000円前後が相場のところ、「コレクション展」では500円未満がほとんど。チケットが安価な方が、ふらりと立ち寄りやすいのではないでしょうか。
目当ての作品がはっきりあるわけではないけれども、なんだか気になる。そんな時にぴったりなのがコレクション展です。
2023年3月、KYOTO LETTER編集部がMoMAK〜京都国立近代美術館〜のコレクション展へ行ってきました。
当時のコレクション展は「2022年度第5回コレクション展」と展覧会「リュイユ−フィンランドのテキスタイル:トゥオマス・ソパネン・コレクション」が開催されていました。
MoMAK〜京都国立近代美術館〜のコレクション展で編集部が実際に見た素晴らしい作品をご紹介いたします!
『護良親王之図』
伊藤快彦さんの描かれた絵です。仏閣の中のような場所で暗がりの中、絵の中の人物は一体何をしているのか。
京都の皆さんがお馴染みの如く、神社や仏閣の中の空間は広くゆったりと取られています。ものすごい奥行きや空気の広がりを感じさせる柱と柱の間の空間。
夕刻のように暗い画面の中で、暗さと奥行きが反響しています。より奥深く、孤独を感じさせる作品です。
『押し紙の上の風景』
ミリー・スティーヴンスさんの刺繍作品です。
手縫いとミシンを両方使ってあると説明書きがありました。糸もきっと、驚くほど多くの種類を使われているのだろうと思います。
煌めきのある艶っぽい糸。けばっとしたふっくらした印象の糸。同じ「糸」でありながらどちらもの性質を織り交ぜて制作された作品に、素材の多様性を感じずにはいられません。
普段使い、身につけている布や糸がこんなに美しかったのかと感服しました。
『丈高く青い夏草の中にむらさきのジギタリスの花が育つ』
こちらはヴェリナ・ウォーレンさんの刺繍作品です。田舎の可愛い風景を見ることができます。布と糸を用いて手仕事で作られた作品という点も、より可愛さを増長させるのではないでしょうか。
画面の左側には、緑や黄緑で刺繍された木がたくさんあります。よく見ると一筆書きのように繋がって縫い付けられたようにも見えるこれらの木たち。
なんだかこのような形をしたレースやデザインを用いた服やバッグを見たことがあるような気がして興味をそそられました。
『花車』
漆や陶器を用いた6名の美術家による合作だそうです。MoMAK〜京都国立近代美術館〜コレクション展のホームページでビジュアルとして用いられていました。
(https://www.momak.go.jp/Japanese/collectiongalleryarchive/2022/collectiongallery2022no05.html)
車輪のついた荷台に、見事な花が活けられています。立ったまま展示されている通りに見ると、花たちの顔がこちらを向きます。荷台のほうが気になって身を屈めてみると、繊細なタッチで小花柄が描かれ彫られていました。
MoMAK〜京都国立近代美術館〜のコレクション展では、ガラスの向こうに展示されている『花車』。車輪を奥にして、荷台の左側一面を見せるようにして展示されています。
果たしてその右側の面は、左側とぴったり対象の小花柄模様になっているのか。もしくはまた違った表情を見せているのか。振り向かせたいほどに興味をそそられました。
『馬着』
インカ・キヴァロさんの作品です。お着物のような形をしています。
フィンランドのテキスタイルであるという「リュイユ」。この『馬着』は和風の印象を強く感じました。まさにMoMAK、京都の美術館にぴったりのようです。
さらに他のリュイユ作品に比べて拡大されたような大きさが特徴です。
糸がどのように垂れていて、どのように重なり合っているのか。他の作品よりもクリアに鑑賞することができました。
『採れたての作物』
ウフラ=べアタ・シンベリ=アールストロムさんの作品です。MoMAK〜京都国立近代美術館〜コレクション展のホームページでビジュアルとして用いられていました。
採れ「たて」というのがポイントではないでしょうか。
リュイユ作品はどれも、ふかふかのカーペットのようで触りたくなる豊かさです。青々とした緑をたくさん使ったこの作品。緑の周りには、窓枠のようにも見えるフレームもあります。
たった今生い茂っている作物をつい連想してしまいましたが、作者のウフラ=ベアタ・シンベリ=アールストロムさんは、『採れたての作物』について、刈り取られた作物をイメージされているのでしょう。
刈り取られた作物を写真に満足げに納める。もしくはたった今、箱に詰めて出荷の準備をしている。他にも多様な想像ができるはずです。
あなたはこの作物のどんな場面を想像しますか?
美術展とはとてもわくわくする空間です。多様に想像することができます。ぱっと「好きだ!」と思える出会いがあるかもしれません。
そしてチケットには時間制限がありません。あなたの好きなペース配分で、美術展のなかを歩いてください。行って戻ってをしても誰にも咎められません。
なんだか美術展へ行きたい気分の時には、ぜひコレクション展をおすすめします!
MoMAK〜京都国立近代美術館〜のコレクション展は年中開催されています。ぜひMoMAK〜京都国立近代美術館〜でとびきりわくわくするひと時をお楽しみください!
「京都国立近代美術館 2022年度 第5回コレクション展」
開催期間:2023年1月28日(土)~4月16日(日)時間:10:00~18:00(2月3日、2月10日、4月14日を除く金曜日は午後8時まで開館。)開催場所:京都国立近代美術館 観覧料 一般:430円 大学生:130円 高校生以下、18歳未満、65歳以上:無料 ※団体割引(20名以上)その他各種割引あり
※「リュイユ―フィンランドのテキスタイル:トゥオマス・ソパネン・コレクション」も同時開催!
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