坂東さん
初めまして、京都を拠点に活動しているフリーランスデザイナーの坂東進亮(bando design office)と申します。 本日から連載が始まります!
▷ bando design office Webサイト
<経歴>2011年から約8年間、東京の企業にてデザイナーとして勤務2018年末に退職し2019年より独立しフリーランス として活動現在、フリーランスとして3年目を迎えるこれまでに新規設立に伴う企業様のロゴマークデザイン、ロゴリニューアル、飲食店のロゴマークデザインなどを手がける<活動領域>・ロゴマークを中心としたCI(コーポレートアイデンティティ)/VI(ビジュアルアイデンティティ)・名刺、封筒、レターヘッドなど、各種ツールデザイン・ブランディング・チラシ/ポスターなどの各種グラフィックデザイン
#ロゴの分解
昨年5月頃から今年3月頃までの約10ヶ月、私のtwitterアカウント(https://twitter.com/shinsukebando)にて「ロゴの分解」を計43回にわたって行ってきました。
#ロゴの分解 全43回のまとめです。 https://t.co/vvw8rVserQ— 坂東進亮 (@shinsukebando) March 26, 2021
#ロゴの分解 全43回のまとめです。 https://t.co/vvw8rVserQ
ロゴの分解とは?
世の中にある優れたロゴマークをピックアップし、その名の通り「分解」をしていきます。例えば、「マークとロゴタイプのこの部分がきちんと揃っている!」「マークは黄金比によって構成されている!」「マークのこの部分とこの部分が同じサイズ!」などを、私なりの視点で分解/分析しております。※私なりの解釈ですので、デザイナーさんが実際に意図してデザインされたものかは分かりません。
なぜこのような「ロゴの分解」をすることになったのか、を少しお話させていただきます。私は学生時代、専門学校や美大/芸大には行っておりません。就職しデザイナーとして働くようになってからも、デザイナーの先輩や上司がいる環境ではなかったため、ずっと独学でした。さらに、私は感覚的な「センス」というものを一切備えておりませんでした。笑そんな中読んだ一冊の本が、衝撃的だったのは今でも覚えています。水野学さんの著書「センスは知識からはじまる」です。
この本では、「センス」というものは生まれ持った先天的なものではなく、知識を蓄積、集約することで向上できるというふうに書かれています。これまで専門的な教育を受けてきておらず、また生まれ持った「センス」がないと自覚していた私にとっては衝撃的な内容であり、また非常に明るい希望、光にもなりました。
「今からでもセンスは向上できるんだ」と。
そこから私はあらゆるデザインの知識を増やす努力をしてきました。その1つの手段が「ロゴの分解」だったのです。あらゆる著名なデザイナーさんがデザインされた優れたロゴマーク。感覚的な良い/悪いではなく、どのようにデザインされているのかという論理的な道筋。そこを紐解いて言語化できれば、自分自身の知識として蓄積できるのではないかと考えたのです。
まさに「センスを磨く」ことができると考えました。
こうして様々なロゴマークの分解を行い、自分の知識としてインプットし、そして私自身がロゴマークをデザインする際には、その知識を存分に活かしてデザインしております。(もちろん全てのデザインにおいて、これらを用いてデザインしている、というわけではありませんが)
前置きが長くなりましたが、この「ロゴの分解」シリーズのコラムでは、私自身がデザインしたロゴマークを題材に、どのような論理的根拠のもとにデザインしているのか、をお話させていただきます。私自身のデザインに対する姿勢を見ていただければ嬉しいですし、また少しでもデザインの面白さ、奥深さを感じていただければ幸いです。
焼肉 韓国料理sonagi様
今回紹介させていただくのは、2021年4月に東京下北沢にオープンしたばかりの、焼肉 韓国料理sonagi様のロゴマークデザインです。
このマークは「正円で構成する」「黄金比を用いる」という2つの規則のもとデザインしております。
「正円で構成する」
マークは牛の顔をモチーフにデザインしておりますが、この部分の曲線は全て正円で構成されております。
ロゴマークデザインにおいて全ての曲線を正円で構成することが、必ずしも正しいというわけではありません。ただ、今回のようにシンプルでミニマルなイメージを出したい場合は、このような手法をとることが、私は多いです。正円で構成することで余計な線の歪みや動きが出なくなり、洗礼された印象を与えることができます。自然の世界には、明らかな正円で構成されているものはありませんので、正円で構成するということは自然の世界から離れる、ということになります。それが「シンプル」「ミニマル」というものにつながります。
「黄金比/白銀比を用いる」
今回のロゴには1つの黄金比(1:1618)と2つの白銀比(1:1.414)を用いて、決定している部分があります。
1.マーク(牛の顔)のサイズ
2.マークの「s」部分のサイズ
3.ロゴタイプ の位置
このように、一見すると感覚的にデザインされているような部分も、ある規則のもとにデザインされていることが分かっていただけると思います。初めから「黄金比」や「白銀比」に当てはめてデザインするということはまずありません。少しバランスが悪いと感じた時や、最終段階のブラッシュアップ時に適用することがほとんどです。
感覚的にデザインしてバランスが悪いと感じた時も、黄金比に当てはめてデザインし直してみるとカチッと、バランスの取れたデザインになることもよくあります。
今回は焼肉 韓国料理sonagi様のロゴマークデザインについて説明させていただきました。今後もこの「ロゴの分解」シリーズコラムでは、私がデザインしたロゴマークをもとに、「ロゴの分解」のお話をさせていただく予定です。読んでいただきありがとうございました!!
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